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システムトレードの津島朋憲が「システムトレード塾」投資を科学する「津島式FXシステムトレード」の著者が贈る投資情報と資産運用の戦略指針は必見

[戦略]ドルに関する現状の焦点まとめ(Feb.18.2011)

誰にあわせて書くかは非常に難しいところだったので、
一部の方にはちょっと難しくなったかもしれませんが、

投資をする以上、情報は必須なわけですし、
雑多な情報のなかから、一定の基礎知識を得て
これぐらいの文章は読み下していただければ幸いです。

ここに書いていることは、どれも基本的に元ネタがあるものか、
あるいはコンセンサスがあるものがほとんどですが、
例によって自分はめんどくさがりなので、少なくともこのメルマガを発行する段階では
そうした元情報リンクをくっつけません。

適当に調べてみてください。それも情報処理力の上昇の練習になりますので。

言えるのは、英語が読めなくても、ちゃんとメディアを選んで多少のカネをかければ
この程度の総合情報を手元に揃えることは可能だということです。

Contents

1、とにかく大量のドルを発行しています

記憶に間違いがなければ、昨年の11月一ヶ月のうちにアメリカの
FRB(日本の日銀にあたるが、実は公的なものではないという罠のあるアメリカの中央銀行)
が、日本と中国を抜いて、世界最大のドル国債の保有者になりました。

聞いたことがあるかもしれませんが、QE2という手続きで市場にドルを供給することにしたためです。

お金を印刷してばらまくわけにはいきませんので、ドル国債を購入する形で供給するのですが、
実は、バーナンキは(たしか97年ぐらいだったかな)日銀で
「今すぐヘリコプターから日本円をばらまくんだっ!」と講演したことがあり、
ヘリコプターベンというあだ名すらある需要喚起派です。

まぁ、インフレになるのなら退蔵させるよりは使うでしょうから、需要は喚起できるはずです。
経済学なんて、科学じゃないのでいい加減ですけどね。

で、そういうわけでドルを大量に供給したことにより、ドル国債は大幅に買い支えられて、
金利が上昇する様子もなく、
その代わりにFRBが最大の保有者に躍り出てしまったというわけです。

長期的にはそういうこともあるかもしれませんが、わずか一ヶ月で買い進めた金額を考えると
これは相当の事態です。

これが目立ちすぎたし、もっと続けたいのでFRB議長のバーナンキが
「中国は発表よりも米国債を持ってるよ」という証言を議会でやってしまう始末です。
根拠ないので、外れたら外れたときという無責任な発言ですが、印象操作にはなりますよね?

で、このお金がどこに行ったかというと、どうやら資源ではなく、株式市場と途上国のようです。
で、途上国はインフレになるので、こりゃぁ困ったというわけで、
ブラジルなどは「僕らも一緒にドルを防衛するよ」とまで言い出す始末であります。

中国は大量に保有している米国債が元建てで減価してしまうという理由もあり、
頑強にドルペッグなので、金利を上げているわけです。

2、でも、アメリカの雰囲気は変化しつつあります

高校の社会の歴史で習ったことがあるかもしれませんが、本来アメリカにはモンロー主義
という閉鎖的な発想が根強くあり、これが未だに一部の保守派に強く残っています。
共和党である親子ブッシュの、湾岸戦争、イラク戦争、アフガン戦争という流れを持ち
民主党のクリントン政権で大きく財政を改善したという
ここ20年ぐらいの歴史を見ていると信じがたいことなんですが、
本来は「民主党が始めた戦争を、共和党が終わらせる」というのが流れだったようだそうです。
戦略レベルの事実ですが、自分で確認していないので、この段落は間違ってるカモしれません。
すみません。

で、最近台頭してきた茶会派(ボストン茶会事件を受けての茶会派で、本来の独立したときの
アメリカに戻そ~という流れを持っているようです)は、モンロー主義を内包しているようで、
今のところ「小さな政府」と「国外不干渉」を強く打ち出す様子がうかがわれます。

そもそも、アメリカ人は30%しかパスポートを持っていない特殊に内向きな国で
「海外旅行ブームなど起こる可能性がない」という人もいます。
町田さんなどによれば書籍タイトルにもなっている「アメリカ人の半分はニューヨークの
場所を知らない」んだそうで、我々が会ったことがある沿岸部のアメリカ人というのは、
典型的なアメリカ人ではあり得ないようですな。

なので、こうしたアメリカにおける通底保守的な動きが出て来て
「とにかく小さな政府にしようぜ」というのと、
「海外のことなんか知るか。世界の警察?誰の話?」
というような雰囲気が強くなっているのは確かです。

それが、「もう日本なんかまもらねーよ」という発言や、
「フロリダでアメリカの国から助成金を受けて作る予定だった新幹線も発注しないことにするね」
という流れにつながっているわけです。

アメリカの支配下にあることを前提にして生きてきた方々(役人やマスコミ、
電力などの国策会社等、これまでの日本の古い社会システムの中で恩恵を受けてきた方々)
にとっては、「アメリカさえ向いていればそれで良い」という時代が終わりつつあり、
大きなパラダイム転換が待ちかまえている気配です。

そもそも、そういう事態でもなければ、アメリカの支配システムとして非常にうまく
機能してきた自民党が野党になる可能性などありえないですね。

3、財政危険州を取り巻く状況

新幹線ぐらいなら発注せずにおけばそれですむ問題なのかもしれませんが、
ニューヨーク、カリフォルニア(ロス)、イリノイ(シカゴ)など大都市を含む大きな州が
財政破綻に瀕しており、連邦政府がこれを救済しないとなるとどうするのかすら決まっていない状態でした。

ただ、とりあえず、1月か2月の議会で「州に破産はできない」ことにしたみたいで、
「だったら連歩政府が救済するかどうか」は決まっていないものの、
各州の債券は破綻しづらいような雰囲気になっています。

が、金利が上がると儲けが出るポジションを機関投資家は維持しており(たぶん買い増してる)
投資レベルで見ると「州債券は破綻するしかねーじゃねーか」
という見地が強いようです。

2年前の7月に発行して未だに色あせない、自分の

資産防衛法http://system-trade.jp/neo/neo.php?ohm6696gqgefb8euam2lwido >

を書いたのは、カリフォルニアの破綻が迫っていたからで、
そのときは二年間の返済猶予をしてしのいだのですが、状況はさらに厳しく、
もうほとんど無理そうです。個人的にはそう思います。

時期的には、ここいらの危険州の破綻は夏以降になります。

4、かといって、このままドルを印刷し続けるかどうかは微妙な状態です

他方、連邦政府にしてみても、3月で連邦法が決めた国債の発行上限に到達するらしく、
この基準を変えないと、新しく国債を発行できそうにないのですが(裏技はあるかもしれない)
とすると、いくら市場にドルを供給して、株式市場などを支えようと思っても、
どうやら茶会派を含む共和党はこれに賛成しそうにないとか。
無い袖は振れないわけで、どうなるのか、事態は流動的です。
仮に、国債の発行上限を拡大しても、それを今のQE2と同じ調子でQE3をやって、
ドルを市場に供給し続けるかどうかはまだわからない状態です。
このQE2が切れるのは6月頃のようです。

他方、連邦政府にしてみても、3月で連邦法が決めた国債の発行上限に到達するらしく、この基準を変えないと、新しく国債を発行できそうにないのですが(裏技はあるかもしれない)とすると、いくら市場にドルを供給して、株式市場などを支えようと思っても、

どうやら茶会派を含む共和党はこれに賛成しそうにないとか。
無い袖は振れないわけで、どうなるのか、事態は流動的です。
仮に、国債の発行上限を拡大しても、それを今のQE2と同じ調子でQE3をやって、ドルを市場に供給し続けるかどうかはまだわからない状態です。
このQE2が切れるのは6月頃のようです。

5、さて、これからどうなるの?

常識的に考えればこうした手続きは破綻を先延ばしにする時間稼ぎにはなるでしょうが、
破綻そのものを回避する手続きにはなりません。

ドルはアメリカの資産に対して、明らかにこれまでよりは過剰に発行されているのであり、
株式会社で言う「一株当たり資産」は激減しているのが現実だからです。

前のFRB議長のグリーンスパンはついに
「こりゃぁ、もうダメかもしらんね。金本位制に戻さない限りは」
とまで公式に発言しているんですが、
こういう発言が華麗にスルーされていくような状態ではあります。

つまり、常識的に考えれば、ドルは破綻するでしょう。

6、しかし、ウルトラCはあります

ドル破綻の過程はストレートではあり得ないでしょう。行ったり来たりをします。
なので、時期について言及するのは非常に難しいです。
少なくとも、自分レベルには。

もうひとつは、戦争という方法があります。
「そんなこといったって、イラク、アフガンと負け戦をふたつもしたじゃねーか」
という方もいらっしゃるでしょうが、
戦費を支出するための戦争ではなく、ドルを防衛するための戦争です。

自分はこっち乗りだったのですが、先の朝鮮戦争が再勃発しなかった上、
北朝鮮が 「羅津に中国が駐留することになった」と発表し
中国が  「根も葉もない話」
といったやりとりを見ていると、
本気でアメリカに刃向かって戦争を回避した様子が見え隠れします。
おそらく、再勃発はアメリカの都合でしたが、それに失敗したことになります。

なので、戦争と言っても別にアメリカが戦争をする必要はないわけです。
「ドル防衛に寄与するような戦争や混乱が起こればいい」わけです。

ずっとアメリカの子飼いだったエジプトなどを明らかに見捨てるような様子もあり、
(エジプトを見捨てるということは、イスラエルもカナリ厳しくなります)
どうやらこのさえは世界中が混乱するのを望んでいる気配すらあります。

少なくとも外交戦略を大きく転換しているのは間違いなく、本当に読めない事態ではあります。
この機に際して日本だけがその変化の外にいると考える方が多いのはどうかと思いますね。
エジプトの大統領が見捨てられたが如く、自民党が見捨てられたと考えるのが
自然だと思いますけどね。

そういえば、ペルシャ湾に2つもの機動艦隊を集中させイランから
「危ないからよそにやってくれ」と言われたこともありました。昨年の11月ぐらいだったかな。
イランも空爆されずに済んでしまうのでしょうか。

とはいえ、詳細はともかくとして、また、成功するかどうかも微妙としても、
アメリカのドル崩壊はまっすぐに進むとは思えず、
今ある軍事力他、様々な諜報力を全力で駆使して、米ドルは崩壊を防ごうとすると思います。

金融上の手続きに限界が見えている以上、
これはもう大規模な戦争ぐらいしか手がないんじゃないかなと思うわけです。

7、さらに抽象的、戦略層における傍証異説など

日本の左翼政権は見ての通りのていたらくですが、
これは1970年代からこっち多くの西側欧米諸国で起こっていることの
繰り返しでしかありません。

どの国も、戦後の右肩上がりの経済成長にかげりが見えた時点で、
左翼政権に移っているのですが、すべからく失敗しています。

まぁ、状況が煮詰まった後で政権委譲されるというのもあるんですが、
日本みたいなへこたれではなく、強烈な改革なんかもやりますんで
(日本で言えば特会を総崩しにするぐらいの変化)、
それが破壊以上の結果を生み出すこともなく、惨憺たる結果を生み出すわけです。

日本の場合はそれすら出来ていないので、
改革派、保守派の両方から総スカンを食らっているわけですね。

さて、こうした大きな枠組みから考えると、ひとつの解決策が見えてきます。
「もういっかい世界大戦をやって、世界中の生産力と消費財の保有率を低下させる」
というわけです。

自分は「とりあえず混乱に突っ込もう」というアメリカの現状の戦略姿勢は、これに見えます。

8、日本がその事態に際してどうなるのか

これはイマイチわかりません。
ただ、数年前に自分の中心興味であった
「中国が台湾を攻めたときに、アメリカは守るのか」
という疑問については

「守らない」と結論しています。

海兵隊が2014年に沖縄から完全撤退するという
アメリカの国防白書に書いてあるレベルの既成事実からしても、やはりこれはなさそうです。

つまり、アメリカは中国と戦争をしてまで東アジアの安定に寄与する気はないってことです。

だからといって、戦略的枠組みの中で、日本を今のレベルで守らないかどうかは
別問題なわけです。かわぐちかいじ「沈黙の艦隊」ではありませんが、
直接対決しないまでも紛れというのがありまして、それを狙っている可能性もあります。

たとえば、反ロシア意識が強い中央アジアの国々がアフガン戦役でアメリカの基地を
多く受け入れているわけですし(実際にはかなりの文化も一緒に)、
中には韓国人が多くいる国もありますし、これらの国が中国に攻め込んだりすれば、
それだけで台湾どころではないかもしれません。

ちなみにこの基地受け入れは、南オセチアの混乱の遠因なったという人もいます。
キッシンジャーなどは、中央アジアへの米軍進駐のような過剰な緊張を
ソ連にもたらすべきではないというようなことも言っています。
結果、黒海でわずか30キロを隔てて、米ロの補給艦隊が寄港するような事態に至りました。

また、北朝鮮が今後本格的にアメリカ傀儡としての動作を強くする可能性もありますし、
半島国として真に怖いのは内陸国ですから、北朝鮮の核が中国に向いていると考えるのが
自然な戦略観であるという意見もあります。

このコラムは修正する可能性があります。

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